今秋はキノコが全国的に豊作だが、道南では不作気味だった。例年に比べ夏の日照時間が短く、連続で襲来した台風が原因とみられる。例年だと、道南では11月から秋の味覚の代表格「エノキタケ」のシーズンが始まるが、今季の不作を受けて愛好家から不安の声も聞こえている。
道南では、ナラタケ(ボリボリ)やアワダケは毎年9月中旬~下旬がピーク。函館市中島廉売の店頭でキノコを販売している山田喜一郎さん(75)は「今年は例年より採れる期間が短かった。ボリボリもアワダケも雨や強風に弱いから、台風の影響で状態がいいものが少なかった」と話す。
ナメコやハタケシメジ、ムキダケの収穫時期も例年より早く終盤という。山田さんはハタケシメジはバター炒め、ムキダケはみそ汁が絶品だといい「店頭に並べてもすぐに売れてしまう」と話す。
毎年キノコ狩りに行くという柏木町の無職佐藤孝一さん(75)は「エノキが採れるのを楽しみにしているが、9月はボリボリがあまり採れなかったから不安」と表情を曇らせる。
エノキタケに酷似した毒キノコ、「ニガクリタケ」は過食すると生死に関わるため、注意が必要。佐藤さんは「ニガクリタケのかさは灰がかった黄色をしているが、エノキタケのかさは栗色で粘り気がある」と見分け方をアドバイスする。(柳元貴成)