民間で飼育し、警察の要請を受けて捜査に協力する「嘱託警察犬」。道警函館方面本部管内では、6月の審査会で8頭が合格し、9月から1年間、行方不明者の捜索などで活動する。
函館中央署(桜庭英樹署長)管内では、七飯町在住の中学校教諭、荒川賢(さかし)さん(57)が飼育するシェパード犬「フレンダー・オブ・ドウカイホク号」(雌1歳)を警察犬として委嘱した。
荒川さんは、出動時に犬を操る指導手の大沼由二さん(54)=江差町在住=と出会い、初めて警察犬を目指す犬を飼育。審査会まで3カ月と短い期間で大沼さんが訓練、合格した。
フレンダー号は人懐っこく、高齢者施設を訪問するセラピー犬としても活動。荒川さんは「ただかわいがるペットではなく、警察犬として活躍してくれればうれしい」と話す。
26年間、警察犬の訓練経験を持つ大沼さんは「これほど若いうちに合格した犬がいた記憶はない。さらに経験を積ませて成長させたい」と話していた。
函館西署(木村圭一署長)管内では、三星屋ドッグスクール(末広町10)の秋浜城治代表(48)が育てるシェパード犬「クヴィレット・フォン・クランツ・K・Y号」(雌9歳)と「カーラ・フォン・キョート・マスダ号」(雌4歳)が嘱託警察犬に。クヴィレット号は昨年に続き7回目、カーラ号は初めて委嘱された。
指導手の委嘱も受けた秋浜代表は、クヴィレット号を「繊細で気が小さいが、その分落ち着きがあり仕事も正確にこなす」と紹介。これまでに10~20回出動し、コンビニ強盗の犯人や山岳での行方不明者の捜索にあたった。カーラ号については「パワーが有り余っていて、物おじしない大胆な性格」と話していた。
同本部管内の審査会は6月15日に知内町で開かれ、10頭が挑戦。犬に指示を出す指導手の試験も兼ね、管内から3人を指導手として委嘱した。3頭への嘱託書は函館中央署で8月29日、函館西署では同31日に所有者へ交付された。(深津慶太、柳元貴成)