函館出身で、有名フレンチレストラン「ティルプス」(東京都港区白金台)のオーナー、大橋直誉さん(34)が21日、函館競輪場(金堀町10)メインスタンド3階にスープカレー店「エレカプース」をオープンさせた。父親が元競輪選手で、自身も一時選手を目指した過去があり、練習を重ねたバンクがある思い出の場所での初出店に感慨もひとしお。大橋さんは「函館グルメの選択肢の一つに成長できれば」と期待を込める。
父の秀人さんの影響で高校時代から自転車競技を始めた。競輪選手を目指したがかなわず、周囲の勧めもあって函館短大付設調理製菓専門学校に進学し、飲食の道に目覚めた。東京の有名店で修業後、渡仏しボルドーのミシュラン2つ星「コルディアン・バージュ」でソムリエを経験。帰国後に3つ星レストラン「カンテサンス」に入り、2013年にティルプスを開店させて2カ月半で1つ星を獲得した。
何らかの形で古里への貢献ができないかと考えていた時に、縁あって競輪場に店を出す話が持ち上がった。「最初は驚いたが、自転車をやっていたこともあって運命的なものを感じた」といい、今年1月から準備を重ねてきた。フレンチの香りを残しつつ、芳醇なチキンスープをベースにした「焦がしバターチキンスープカレー」と「オニオングラタンスープカレー」(ともに1200円・税抜き)の2種類をメニューに決めた。スパイスにもこだわり、同店の庄司貴彦店長(36)は「今までにない新感覚のうま味が楽しめる」と自信をのぞかせる。
競輪ファンだけでなく、世代や性別を問わず愛される店にしたいという。親交のある函館出身のロックバンドGLAYのTERUさんがSNSで紹介し、初日から女性客らでにぎわった。大橋さんは「食がきっかけになって観光や競輪の活性化にもつながれば」と話している。
営業時間は、競輪場開場時の昼の部が午前11時から午後2時、夜の部が同5時から同8時まで。問い合わせは市競輪事業部事業課(0138・51・3121)へ。(小杉貴洋)