青春の思い出を取り戻してください―。1973(昭和48)年度の函館西高校吹奏楽部の日誌が、なぜか福岡県在住で、同部と関わりのない男性(46)の自宅から見つかった。男性が千葉県の高校に通っていた時期に吹奏楽部の部室で発見したというが、日誌がなぜ部室にあったのかは謎のまま。函館新聞に情報を寄せた男性は持ち主を探しており、「思い出をお返ししたい」と話している。
見つかった日誌はノート1冊。男性によると、87(同62)年ごろ、千葉県の東京学館高校で吹奏楽部の部長をしていた際、部室を整理している最中に発見したという。
年月を経てセピア色に染まり、くたびれた日誌は73年6~9月に書かれたとみられ、部員たちが日々の練習内容や、その時々の気持ちをつづっている。
「今年の一年生に告ぐ。中身のあるおもしろい日誌を書いて下さい」(6月7日)から始まり、「一年生、帰るのが早い! もっと練習してゆけ!!」(同13日)など先輩から後輩への叱咤激励、夏休み目前の7月13日には「バスケットは合宿をやるそうです。なぜ吹奏楽部はやらないのですか?」など、内容はさまざま(いずれも原文まま)。中には鹿部町で交通安全パレードに参加したとの記述や、当時の人気アイドル郷ひろみさんの写真を切り抜いて張ったページもあり、当時の流行や世相を感じさせる。背表紙にはメンバーの名前と担当楽器が記され、まさに青春時代がぎっしりと詰まった一冊だ。
男性は高校卒業後、何度か引っ越しを重ねながらも、日誌を捨てることなく所持してきた。高校在学中の88年6月にはパソコン通信を使って西高の所在地を尋ねた記録があり、住所は把握できたが、部の関係者まではたどりつけなかったという。今月、福岡県久留米市の自宅で押し入れの荷物を整理していた時に日誌が見つかり、本紙の公式ツイッターに情報を寄せた。発見当時の記憶があいまいだとしながら、「楽譜を回収する時に紛れて一緒に持ってきたのでは」と話す。
当時の高校1~3年生は、現在だと60~62歳前後にあたる。男性は「しっかりとした日誌で、当時の部員たちにとっても思い出があるのでは。皆さんで集まった時に見てもらえたらと思う。忘れずに返したい」と、当時の部員たちが名乗り出てくることを心待ちにしている。
心当たりのある人は、本紙報道部(0138・43・2121)へ。(千葉卓陽)