71回目の終戦記念日を迎えた15日、函館市内や七飯町で、平和を考える式典や鐘を鳴らして戦没者を追悼する行事などが行われ、参列者は静かに恒久平和への祈りをささげた。
●願い込めて鐘鳴らす
○…函館ユネスコ協会(土谷二朗会長)は、地域の寺院や教会で平和への祈りと願いを込めた鐘の音を響かせた。
市内の寺院や教会10カ所に協力を呼び掛けて実施。東川町12の本願寺派函館別院では会員と市民ら約50人が集い、土谷会長は「戦争は人の心から生まれるものであり、人の心の中に平和をというユネスコの憲章に基づき、語り継ぎながら平和を継承していかなければ」とあいさつした。
松谷博子副会長も「誰もが願う平和を守り、若い世代に対してもその気持ちを持ってもらえるよう願いを込めて鐘をついた」と話していた。(田中陽介)
●賛美歌を歌い黙とう
○…上湯川町346のトラピスチヌ修道院(青木秀子修道院長)は、2008年から一般公開している「世界平和のための祈りの集い」を、同院客者聖堂で開いた。
おごそかな雰囲気の中、修道女約40人が平和を求める賛美歌を歌い、その後修道女5人が30回ずつ交代で鐘をつき、参加者とともに黙とうをささげた。
毎年参加しているという七飯町の89歳女性は「七重浜から青函連絡船を襲っていた戦闘機の恐ろしさは今でも思い出す。平和への思いはますます強くなる」と話していた。(半澤孝平)
●戦没者の冥福祈る
○…函館市青柳町の函館護国神社(大橋東城宮司)では、函館市連合遺族会(浜野幸子会長)が主催する「戦没者追悼平和祈願祭」が開かれた。同会会員など約50人が参列し、戦没者の霊を慰め、平和の尊さを考えた。
大橋宮司の祝詞奉上に続き、浜野会長らが玉ぐしをささげた。戦後71年が過ぎ遺族が高齢化していることで、段を上がるのに時間が掛かる参列者もいて、助け合っていた。
浜野会長は「国を守るために命を落とした人のために、遺族が何かをし続けなければならない。ただ、今後に不安を持っていることは確か。私たちが平和を大切にしていく強い気持ちを天に届けることを絶やしてはいけない」と話した。(山崎純一)
●争いのない世界願う
○…七飯町平和祈念祭(町主催)は七重小学校グラウンド内の平和祈念之碑前で開かれ、遺族や町民など約100人が出席。平和の象徴であるハトが飛び立つ中、中学生による平和の誓いや、参列者の献花で戦没者の冥福を祈った。
中宮安一町長は「悲惨な戦争の教訓を風化させることなく、史実を未来に正しく引き継いでいくことが私たちに課せられた使命」と式辞。坂田邦彦町議会議長、町遺族会の竹田義蔵会長らが追悼の辞を述べた。
また、町平和大使として6日の広島市平和記念式典に参列した細川栞吾(かんご)君(大沼中2年)ら6人が平和の誓いを読み上げ、「原爆の記憶や恐ろしさを忘れてはいけない。戦争は2度と繰り返してはならないということを未来へ伝え続け、争いのない世の中を作っていかなければ」と呼びかけた。(千葉卓陽)