【北斗】1954年9月26日に発生した洞爺丸台風事故の犠牲者をしのぶ62回忌の慰霊法要が26日、北斗市七重浜の「台風海難者慰霊碑」前で開かれた主催団体の青函連絡船殉職者遺族会の富樫淳次会長(76)は本年度末で遺族会を解散すると表明法要は今回で最後となる
実働会員が高齢化し、組織維持が困難になってきたのが理由近年は函館市内に在住する富樫会長ら7人が函館仏教会の協力を受けながら法要の準備、運営に当たっており、参列する遺族も年々減少していた会員は全国各地に700人ほどいるとみられているが、「すべて掌握できる状態にない」(同会長)というもともと60回忌の節目で終わる予定でいたが、来年3月26日の北海道新幹線開業を迎えるまで続けようと、内部で申し合わせていた
雨の降る中行われた法要には、乗組員の遺族ら約60人が参列僧侶が読経する中、参列者は碑に手を合わせ焼香した
あいさつで富樫会長は「海難事故をきっかけに青函トンネルが掘られ開通した来年3月には北海道新幹線が開通し、新たな歴史を迎えるこれを一つの契機に遺族会も解散したい」とし、法要も今回で最後とする意向を示した来賓で参列した逢坂誠二衆院議員(民主党)は「洞爺丸の惨事は忘れてはならないこれからも後世に語り継がなければならない」と述べた
母と生後間もない弟を事故で亡くし、20年以上にわたり毎年参加している佐賀県小城市の唐島佳仁さん(64)は「これで終わりと聞き、非常に寂しい」と目頭を潤ませたこの日はまた、慰霊碑に近い七宝寺(七重浜)でも法要が行われ、遺族ら約50人が犠牲者の冥福を祈った
洞爺丸台風の海難事故は函館湾上にいた同船をはじめ5隻が台風のため沈没多くの遺体が七重浜に打ち上げられ、死者、行方不明者1500人余りに達した(鈴木潤)