函館市西旭岡町1の自宅で、主婦岸田友子さん=当時(68)=が殺害された事件から10月31日で2年がたった。函館中央署によると、解決につながる有力な手掛かりは見つかっていない。捜査本部は31日、事件を風化させないため、市内2カ所でチラシなどを配布し、情報提供を呼び掛ける。
2016年10月31日午後3時半ごろ、岸田さんの夫を送り届けた介護施設職員が、自宅1階裏口のドア付近で首から血を流して倒れている岸田さんを見つけた。首には鋭利な凶器でつけられた傷があり、死因は出血性ショックだった。現場に争ったり、物色したりした跡はなかった。
捜査本部は、発生2日後の11月2日に設置。周辺の聞き込みなど捜査を続けている。同署によると、凶器は見つかっておらず、「情報は噂程度のもので、有力な内容は寄せられていない」という。
閑静な住宅地にある現場は、今も警察による規制線が張られたままだ。岸田さんとあいさつ程度の交流だったという近所の女性は「事件当時は怖かったが、周辺の治安を守る意味でも規制線は必要なのではないか」と話す。
今年3月、地元の西旭岡町会は寄贈された防犯カメラ3台を、現場周辺の住宅2軒と集会所に設置した。高村純一郎会長によると、主に車道を監視するが、現時点で不審者が映ったことはないという。
捜査本部は今月、同町会に情報提供を呼び掛けるポスターを配布した。現場周辺は近所との交流が少なく、事件後に移住してきた住民もいる。高村会長は「あの辺は用事がある人でないと来ることはない。事件が風化してしまわないか不安」と表情を曇らせた。