函館市末広町に本店を構える老舗レストラン「五島軒」は30日、定時株主総会と取締役会を同社本店で開き、役員改選で若山直社長(76)が会長、若山豪専務(38)が5代目社長に就任した。就任はいずれも同日付。
直会長は1945年、3代目社長・若山徳次郎氏の長男として生まれ、法政大を卒業後70年に同社入社。本店長を経て、1984年に専務、翌85年に徳次郎氏の後を継ぎ、4代目社長に就任。93年には北斗市にカレー缶詰や洋菓子を製造する第1工場を新設し、レトルトカレーの製造にも着手。「函館カレー」のブランドで、全国での販路拡大に注力した。
豪社長は1983年、直会長の長男として生まれ、東洋大卒業後、物流大手「上組」(兵庫県)に入社。2011年に五島軒に入り、16年に製造販売企画開発室長、18年に取締役事業部長を経て19年に専務に就任。今年4月には新型コロナウイルス禍の経営リスク軽減を目的に、同社の親会社として「五島軒ホールディングス」を設立して代表取締役となり、6月に五島軒を同HDの完全子会社として株式を集約し、事業承継に向けた準備を進めてきた。
就任にあたり、若山社長は「コロナ禍でレストランサービスは苦境だが、経営の効率化を進め、ブランドを生かし、カレーや洋菓子などの製造部門に注力し全国に発信していきたい。創業から143年もの間、函館の人々に支えられ続いてきた歴史に感謝し、『洋食文化』を守るという使命を果たしたい」と意気込んでいる。
このほか、役員改選で東哲夫常務が専務、工藤真史取締役が常務にそれぞれ就任した。(飯尾遼太)