函館市の大泉潤保健福祉部長(56)は12日、任期満了に伴う来春の函館市長選挙に立候補する意向を明らかにした。同日午前、工藤寿樹市長(72)に退職願を提出し、受理された。大泉氏は出馬の理由などについては明言を避けた。現職で3期目の工藤市長は4選出馬の態度を明らかにしておらず、市長選に名乗りを上げたのは大泉氏が初めて。
大泉氏は取材に対し「今日の午前中に7月31日で退職する旨を伝えた。市長選を目指したいと考えている」と明かした。今後については「こつこつと歩きながら準備を進めていきたい」と答えた。大泉氏については市内経済界の一部から推す声が上がっていた。
俳優やタレントとして活躍する大泉洋さん(49)は実弟。「出馬することは伝えた。ただ、市長選と(弟の)芸能活動とは別なもの」と話した。
大泉氏の出馬意向を受け、工藤市長は「退職届を受け取る際に、本人から選挙に出るという話は聞かなかった。自分で決めたことなので引き留めることはせず『新しい挑戦へ頑張ってもらいたい』と声をかけた。保健福祉部長としてコロナ禍の対応を非常によくやってくれた。すでに後任の準備は進めているため業務に支障はない」と話した。
4選出馬について工藤市長は「今は目の前の課題に対応することが最優先。出馬について今は判断する時期ではない」と強調した。
大泉氏は1966年江別市生まれ。早大法学部を卒業し、95年に函館市役所入り。総務部秘書課長、保健福祉部次長、観光部長を経て、2019年から現職。(小川俊之、小杉貴洋)
現職工藤氏の動向が焦点
大泉潤氏の出馬表明を受け、函館市長選は、現職・工藤寿樹市長の動向が当面の焦点になる。
工藤市長の後援会(室田晴康会長)は、新型コロナウイルス感染症の影響で2年連続で中止していた政治資金パーティーを今秋に開く方向で調整している。
ただ、工藤市長は12日の取材に対し「目の前の課題に対応することが最優先」と態度を明らかにしていない。後援会内では「すべては本人の気持ち次第。今後についてはまだ分からない。後援会としてできることがあればやっていく。パーティーについてもどのような開催形式にするかも検討している」(幹部)と受け止める。
工藤市長の3期の実績から4選出馬を望む声が経済界にある一方で、大泉氏が相手となれば同じ市役所出身同士の争いは避けるべきという一部経済人もある。大泉氏の支援態勢など詳細は明らかになっておらず、工藤市長と後援会内の調整が水面下で続いているとみられる。