道内の若手芸術家を対象にした「2019年第11回道展U21」(北海道美術協会主催)で、市立函館高校2年の岡部もなさん(16)の油彩「骨身にしみる」(S50号)が函館新聞社賞を受賞した。同賞は大賞、準大賞に次ぐ29人に贈られるスポンサー賞の一つで、岡部さんは「この経験を自信に変えて次につなげたい」と喜びを語る。
今回の道展U21には、平面作品759点、立体作品68点の計827点が出品された。
岡部さんの作品は、人間社会を表現した無数のサボテンに周りを囲まれた女性が真ん中で座り込んでいる抽象画。女性は安心感や暗い感情など複雑な感情を抱く自身をモデルにして、顔や髪の毛、服のしわの一つ一つにこだわって色付けをしていったという。
「今までは細かいところばかりに気を使って魅力が半減していたが、今回は一枚の作品として常に考え制作した。その結果、描くスピードも上がり説得力が出たと思う」と自信をのぞかせる。入部する美術部の顧問、佐々木龍教諭は「1年生のころから描ける生徒だったが、今回の作品を通じてさらに成長が見られた」と褒める。
ただ、サボテンの描き方に納得がいかず、審査員からの講評でも意見が多かった。「アドバイスを真摯(しんし)に受け止めて、次は違う世界観の絵が描けるとうれしい。もっと上手になりたい」と、さらなる成長を誓っている。(小杉貴洋)