市立函館博物館郷土資料館(末広町、旧金森洋物店)は渡辺熊四郎(1840~1907年)を主人公とした創作紙芝居の第2弾となる「続 初代わたなべ熊四郎物語」を製作した。明治時代の函館で熊四郎が商売で成功を収め、市民生活の向上や街の発展に尽力する半生をまとめた。(今井正一)
指定管理者、水引アート工房清雅舎の事業。昨年夏に完成した1作目は、九州に生まれた熊四郎が商売の勉強を重ねて箱館へと渡り、明治の新時代となって、商人としての決意を固める場面で終わり、続編を望む声が寄せられていた。新作も七飯町在住のイラストレーター奥村茂樹さんが絵を担当。函館絵本の会「銀のふね」の柄澤昌子さんの助言を受けて今泉香織館長らスタッフがストーリーを練り、表紙を含めて全13枚にまとめた。
熊四郎は、1869(明治2)年の洋物店を皮切りに商売を拡大し、病院や学校建設にも力を注いだ。特に函館公園建設では、英国領事ユースデンとの交流やすり鉢山の築造に多くの人が協力したことなど2枚にわたって描いた。1879(同12)年の大火では市民に物資を仕入れ値で譲ったことや現資料館の建物でもある店舗をレンガ造で再建したことも紹介。熊四郎の物語は、観光客でにぎわう現在の金森赤レンガ倉庫群の場面で幕を閉じる。
10日に同館で関係者らを前にお披露目された。混雑時を除き、来館者の希望があれば対応する。また、1作目同様に熊四郎生誕地の大分県竹田市への寄贈を予定。今泉館長は「建物とともに熊四郎の功績を伝えていきたい。希望があれば貸し出しや館外での出張公演も考えたい」と話していた。
問い合わせは同館(0138・23・3095)へ。