道立函館美術館は6日、函館市内4カ所に収蔵されている松前藩家老で画家の蠣崎波響(1764~1826年)の作品を鑑賞する「波響ぐるっと4館ツアー」を開いた。参加者たちは今回初公開された「草花鳥獣人物図屏風(そうかちょうじゅうじんぶつずびょうぶ)」など数々の作品を堪能した。
ツアーは2017年から開催。同美術館を起点に、市立函館博物館、旧相馬邸、高龍寺の4か所を徒歩と市電で巡る。
今回は40~70代の24人が参加。2グループに分かれ、同美術館では現在開かれている「ミュージアム・コレクション冬~春『東洋の美~こころ、悠々と、あそぶ。』」「生誕110年岩船修三展」「水辺のものがたり」と、第一収蔵庫で「名鷹図(めいようず)」など4点の波響作品を説明付きで観覧した。
今回の目玉「草花鳥獣人物図屏風」は作品6点が描かれた174・5センチ×355センチの屏風2対で、昨年秋に個人宅で発見された。鳥や犬、人物等が描かれており、参加者たちは食い入るように見つめていた。
市内在住の60代女性は「波響の有名な作品『夷酋(いしゅう)列像』とはまた違ったおもむきがあった。繊細な筆づかいが美しい作品で、見ることができて良かった」と感激した様子で話していた。
「草花鳥獣人物図屏風」は18日から6月9日まで同美術館で開催される「ミュージアム・コレクション春~夏『ハコビ・コレクションのニューカマー』」でも公開予定。(伊藤 尚)