函館市在住の映像監督、大西功一さん製作のドキュメンタリー映画「津軽のカマリ」の上映会が、18日に函館市公民館、21日に江差町文化会館、12月2日に八雲町シルバープラザで開かれる。映画では、津軽三味線の名匠として知られる故・初代高橋竹山(1910~98年)の生涯に迫る。
竹山は青森県平内町に生まれ、幼少期に発症した麻疹(はしか)が原因で、おおよその視力を失った。当時の北東北は、農作物の凶作のために飢えで苦しむ庶民であふれるなど、過酷な環境にあった。
厳しい時代を生き抜くため、竹山は戸田重次郎に弟子入りして唄と三味線を習い、1926(大正15)年に独立。秋田県や岩手県、北海道を門付で回り、95年には函館市民会館で自身最後の舞台公演を開いた。
映画では、残された映像や音声のほか、生前の竹山を知る親族らの言葉を拾い、竹山の人生を描いている。竹山は生前「津軽のカマリ(匂い)がわき出るような音を出したい」と語っており、大西さんは「竹山の演奏は、普遍的な音色で生命や人間らしさを醸し出している」と話す。
もう一人の主要人物として、97年に襲名した女性津軽三味線演奏家、二代目高橋竹山にもスポットを当てる。18歳の若さで初代竹山に弟子入りし、高橋竹与の名で初代竹山とともに舞台に立った。劇中では襲名後のコンサートにも触れる。
大西さんは「波乱の時代を生きた竹山に流れる“津軽の血”を感じてほしい。竹山の奏でる音色にも酔いしれてもらえたら」と話し、観覧を呼び掛けている。
市公民館では午前11時、午後1時半、同4時、同6時半から。江差町文化会館では午後6時45分から、八雲町シルバープラザでは午後1時半から上映。チケットは前売り1300円、当日1800円。松柏堂プレイガイド、江差町文化会館、八雲町やまびこ事務所でそれぞれ取り扱っている。(柳元貴成)