災害時の薬剤師
皆様は薬剤師の業務といえば第一に調剤を思い浮かべると思いますが、実はほかにもさまざまな業務が有ります。薬剤師法第1条には「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」と記載されています。あまり知られてはいませんが公衆衛生は我々薬剤師の専門性が発揮される所なのです。例えば、災害時の避難所ではインフルエンザやノロウイルスなどの感染症拡大を抑制する為、吐瀉物処理キット・手指消毒薬やうがい薬などの配置、経口補水液の配布などを行います。また、医薬品の供給や調剤、支援で届いた医薬品の仕分けも我々以外にできない業務であり、この仕分け業務を「薬のトリアージ」と言います。災害時に避難所に送られてくる医薬品は使用可能な物ばかりではない為、この薬のトリアージが必要です。サプリメントなどもその対象となります。例えば東日本大震災の際に、放射能を体外に出すという詐欺まがいの物が送られて来たそうですが、そのようなものが皆様の後々の生活に悪影響を及ぼさないよう、薬剤師が検品する事になっています。また、もしも皆様が災害に遭った場合は、ぜひお薬手帳を持って避難して下さい。お薬手帳の情報を元に、早く処方して頂けることがあります。
災害時にこれらの支援業務を行うボランティア薬剤師の受け入れと派遣の相互準備も我々の重要な仕事です。この度の北海道胆振東部地震において、我々函館薬剤師会も要請に応え会員薬剤師を派遣しています。過去の東日本大震災や熊本地震でもボランティア活動をして来ました。我々薬剤師の活動は皆様の目に止まる事は少ないかも知れませんが、今後も国民の健康な生活を確保する為に行政と力を合わせ活動を続けていきたいと思います。
(ハコラク 2019年1月号掲載)
函館薬剤師会
函館市富岡町3-1-17 2F ☎0138-45-1572
白ゆり薬局乙部店
乙部町緑町704-14 ☎0139-62-5777