市立函館病院(森下清文院長)は研修医や看護師が医療シミュレーター機材で診療技術のトレーニングができる「メディカルシミュレーションセンター」を院内に開設した。消化器外科主任医長、外科専門医の久留島徹大センター長は「これまでは、先輩を見様見真似で学んできたが、シミュレーションを行うことでより安全な医療が提供できる」と開設の効果に期待を寄せている。
同センターは、診療技術の向上などを目的に7月に開設した。気管挿管や呼吸音聴診、採血・静脈注射など28種類のトレーニング機材があり、模擬臨床経験が可能。毎週水曜に訓練の時間を設け、研修医や看護師がスキルトレーニングに励んでいる。
市内ではトレーニング機材を集めてセンターとして開設している病院は珍しい。これまでは研修医を対象に研修会を年3回開くことで、技術向上に取り組んできたが、センターが開設されたことによりトレーニングの頻度を増やすことができるようになった。
4日に開かれた研修会には6人の研修医が参加し、二人一組でシナリオ演習を実施。講師は救命救急センターの俵敏弘主任医長が務め、テーマは「外傷と胸腔ドレナージ」。オートバイの単独事故で右胸部の痛み、右下肢変形ありなどの症例に基づき、血圧や心拍数などを確認しながら、救急搬送されてきた患者の処置を訓練した。
同院は今後、医学生や看護学生にも利用を広めていく方針。森下院長は「シミュレーションを繰り返し、ある程度の経験をしてから現場に出て行くのは重要な有効な方法」と話している。(木村京子)