健康志向の人は要注意の
「酸蝕症」
皆さんは普段飲み食いする物で、歯が溶けてしまう事をご存じですか。一般的に虫歯と言われる齲蝕は、細菌が糖を代謝して酸を作り、歯を溶かします。それ以外で酸が歯を溶かすことを酸蝕症と言います。酸性の飲食物の摂取が過剰な人は注意が必要です。健康のために良いと言われる物には多々酸性度の強い物があり、知らないうちに歯が溶けてしまうことがあります。かんきつ類、りんごなどの大部分の果物、梅干し、酢の物、サラダドレッシング、炭酸飲料、スポーツ飲料、野菜ジュース、栄養ドリンク、乳酸飲料、お酢系飲料、ワイン、ビールといった大抵の人が口にする物です。また、薬でもビタミンC剤や鉄分サプリメント、うがい薬など酸性度の強い物があります。
歯が溶けると初期のうちは表面のエナメル質が白濁したり、丸みを帯びたり、薄くなって透明感が強くなったりします。さらに進行すると中の象牙質が露出し、穴があき、擦り減りが加速され、歯の形が変化してしまいます。冷たい物で歯がしみたり、かむと痛くなることもあります。象牙質の方がエナメル質より酸に溶けやすいので、歯茎がやせて根が出ている人は余計に危険です。また乳歯は永久歯より酸に弱いので、お子さんに与える飲食物にも注意が必要です。
酸に対する防御は唾液が重要で、歯を保護するため洗浄や中和の作用をします。ストレス、脱水、口呼吸、抗ヒスタミン薬などの服用で口腔乾燥があると不利です。睡眠時は分泌が極端に減少するので、就寝前にリスクのある物を摂取するのは避けましょう。
酸蝕症を防ぐには生活習慣を見直し、酸性の物の摂取頻度を減らしたり、口の中に含む時間を短くしたり、中和させるため、水でうがいや牛乳を口に含むなどを行います。酸性の物を多めに口にした直後は歯面が軟化しているため、30分以上あけて歯磨きをする方が安全です。
(ハコラク 2022年 4月号掲載)
略歴
昭和59年、函館中部高等学校卒業。平成2年に北海道大学歯学部を卒業後、札幌市内の歯科を経て、平成17年から吉田歯科口腔外科に勤務。
吉田歯科口腔外科
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