放置するとほんとに怖い歯周病
歯周病とは、歯周ポケット(歯と歯ぐきの境目)のプラークに含まれる歯周病菌によって、口臭がしたり、歯茎が腫れたり、出血したり、進行すると歯を支えている骨が溶けて、歯が抜けてしまう病気です。痛みなどの自覚症状がなく進行するのが特徴です。日本人の成人の約8割が歯周病にかかっていると言われています。つまり生活習慣病の1つとも言われています。この歯周病がいろいろな病気と関係があることが知られております。たとえば心筋梗塞ですが、歯周病に罹患している人は正常の人の約3.6倍もなりやすいという報告があります。また、脳梗塞においても2.8倍なりやすいという報告があります。これらの原因は歯周ポケットのプラークに含まれる歯周病菌で、歯肉の毛細血管から入りこみ、動脈硬化を誘発する物質を出して血管内にプラークを作り血管を細くします。そして、プラークが血管壁からはがれて血の塊ができて詰まることから起きるのです。
がんにおいても、歯周病のある人は、がんの可能性が全体的に14%高いことが報告されております。食道がんや大腸がんの細胞から歯周病菌が高い割合で検出されている事実もあります。この原因は歯周病菌によって炎症が起き、それが持続することで正常細胞のDNAが障害を受け、最終的に発がんに結び付くという可能性が考えられています。このほかにも歯周病があると、糖尿病がさらに進行することや、誤嚥性肺炎が増加すること、さらに早産、低体重児のリスクが7.3倍に増加するなど、いろいろな病気と関係があるのです。
歯周病のケアは歯磨きが1番です。歯周ポケットのプラークを除去することが1番大切なのです。プラークが石灰化して歯石になってしまうと、自分で取ることができなくなるので歯科医にて専門的に歯周治療が必要となります。そうなる前に歯磨きや歯間ブラシを使用し、歯周病の予防のみならず全身の病気の予防をしましょう。
(ハコラク 2022年 2月号掲載)
略歴
平成4年、岩手医科大学卒業後、同大第2口腔外科に入局。八戸赤十字病院歯科口腔外科、下北医療センターむつ総合病院歯科口腔外科、国保大畑診療所歯科口腔外科、岩手医科大学第2口腔外科助手、函館協会病院勤務を経て、令和元年、みさわ歯科口腔外科クリニックを開院。
みさわ歯科口腔外科クリニック
函館市桔梗5‐14‐1
☎0138‐47‐3733
■診療科目/歯科、歯科口腔外科、小児歯科
■診療時間/ 9:30~13:00
14:30~19:00
※土曜は午後休診、水曜は往診治療も受け付け
■休診日/日曜・祝日