触覚の不思議
触覚は最も早く発生する感覚です。妊娠8、9週には、すでに触覚は発達し始め、お腹の中で、指を口に入れたり、体や子宮の壁を触ったりして、学習しています。生まれたばかりの赤ちゃんは、まわりからの刺激に反応しているばかりではありません。ジタバタと一見まったくバラバラに手足を動かしているように見えますが、かなり複雑な動きをしていることが分かってきました。やみくもに動かしているように見える手や足の動きを細かく分析すると、毎回少しずつ異なった軌跡を描いています。そして、赤ちゃんが手を伸ばしたところで、偶然何かに触れると、もう一度確かめるような動きが見られるというのです。ジタバタとした動きをしながら、身の回りの環境を積極的に探索し、頭の中に空間的な認識の地図を作っているのではないかと思われます。
4カ月を過ぎると、かなり手の動きが自由になり、手に掴んだものを口に持っていけるようになります。なんでも口に入れて、大丈夫かしらと考えてしまいますが、これも環境を知るための大事な訓練です。唇は、人体の中で最も触覚が発達している場所、赤ちゃんが口の中にものを入れるのは、味を確かめているわけではなく、唇や舌で物の感触を調べているのです。赤ちゃんにとって、触ることやなめることは、見たり聞いたりするより確かな情報を得る手段です。
心地良い触刺激によって、快ホルモンといわれるオキシトシンがたくさん分泌されます。オキシトシンは、「やすらぎ」と「結びつき」をもたらすホルモンです。赤ちゃんには、やさしく、丁寧なスキンシップをしてあげましょう。目と目を合わせて、赤ちゃんに声をかけながらお母さんやお父さんが笑顔で触れてあげることで、赤ちゃんは「愛されている」という感覚を覚えていき、それによって親子の絆も深まっていくと考えられます。
(ハコラク 2021年11月号掲載)
略歴
昭和59年、北海道大学医学部卒業。同年4月から北海道勤医協札幌病院に8年間勤務後、静岡てんかん・神経医療センター小児科、道南勤医協稜北病院小児科医長を経て、平成21年9月、はるこどもクリニックを開院。平成23年12月病児保育所はるっこ開設。日本小児科学会小児科専門医、日本小児神経学会小児神経専門医。著書に「いいとこ探しののびのび子育て」あり。
はるこどもクリニック 病児保育所
はるっこ(はるこどもクリニック併設)
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