腹腔鏡手術の変遷
産婦人科で手術といえば下腹部に縦に切開を入れ、できるだけ広い視野で安全確実な手術を心掛けるよう指導されてきました。25年前から腹腔鏡手術が産婦人科領域でも取り入れられ、小さな穴を腹部に開けカメラで患部を映し出しそれを画面で見ながら手術するようになりました。カメラ、凝固機器の向上でがんの手術まで行えるようになり、現在ではロボット手術の領域に突入しています。近年ますますカメラの性能が向上し、ハイビジョンカメラの使用、さらに4K、8Kのカメラまで出現し、開腹手術では直視下で見えにくい部分もはっきりと見えるようになってきています。 これらの機器を使用するには操作訓練が必要で、道南の病院でも先端技術を駆使して子宮体がん、子宮頸がんの手術、リンパ節の郭清までも腹腔鏡で行うレベルに達しています。20年前から私も腹腔鏡手術を導入していますが、一般の開腹手術と腹腔鏡手術の利点をとり双方の良い所をとるhybrid手術が近年だんだん主流になっています。腹腔鏡の細かいところまで良く見える利点と、小さな切開を入れて筋腫を回収したり創を修復したりする手法です。腹腔鏡手術にこだわっていた頃では3時間から4時間掛かっていた手術もこの手法を用いると1時間半位で可能です。
機器の開発に伴い、できるだけ患者さんに負担を掛けず安全に行おうという手法にどんどん変わっていっています。近年もてはやされているロボット手術もその巨額な投資費用、多数の人手がかかる割にはメリットが少ないということで見直されつつあります。これからどの方向に進んでいくかは未知数ですが、今我々のできる最高の技術で患者さんに対処するのが使命だと考えています。
(ハコラク 2018年7月号掲載)
略歴
昭和47年、岡山大学医学部卒業、同年ECFMG認定(認定番号1747732)、昭和50年より北大医学部癌研病理部門研究生を経て、昭和55年に医学博士学位を取得。国立高知医科大学産婦人科講師、函館五稜郭病院産婦人科科長などを経て、昭和62年産科婦人科秋山記念病院開設。平成8年には森町レディスクリニックを開設した。専門分野は産科学、悪性腫瘍。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。
秋山記念病院
函館市石川町41-9 ☎0138-46-6660(代)
http://akiyama.hakodate.jp/
■診療科目/産科、婦人科、乳腺外科
■診療時間/〈産科・婦人科〉月・火・木・金 9:00~12:00、
15:00~18:00
水 9:00~12:00、
土 9:00~14:00、
日・ 祝9:30~12:00
〈乳腺外科〉(予約制) 月・火・木 9:00~11:40、
14:00~16:40、
水・金 9:00~11:40