着床とは、卵管采で授精した受精卵が7日間ほどかけて卵管を移動し子宮内腔に到達、厚くなった子宮内膜(血液でできた受精卵のためのベッド)にもぐりこみ、子宮内膜と結合します。この状態が着床で、これをもって妊娠の成立とされています。
ところが不妊治療の現場では、体外受精や顕微授精によって良好な受精卵(胚)を子宮内に移植しても、なかなか着床しない患者様がおられます(着床障害)。
着床するためには子宮内の状態がとても重要なのですが、子宮内の状態は、普段よく行う超音波検査などではなかなか判断できません。子宮内に小さなポリープや筋腫がある、生まれつき子宮が特殊な形をしている、などの場合は着床しづらく妊娠率が低下します。この子宮の状態を確認するのが子宮鏡検査です。
この検査では、子宮の中に直径3mmほどの細いカメラをいれて、子宮内腔に子宮筋腫や子宮内膜ポリープなどの異常がないかを観察します。イメージ的には胃カメラと同じです。検査中は子宮内の状態を医師が説明しながら、患者さん自身も子宮内の状態をモニターで同時に確認することができます。検査は1~2分の短時間で終了し、麻酔や検査前の処置なども必要なく、基本的に「見るだけ」なので痛みはほとんどありません。非常に簡便な検査ですが、着床障害の原因を探るのにとても重要な検査です。もしも検査で子宮内にポリープや筋腫が確認された場合や、外側の子宮筋腫の子宮内へ圧迫があると判断された場合には、手術によりそれを取り除く必要が出てきます。妊娠を希望しているのになかなか妊娠が成立しない場合や、着床障害が疑われる場合には専門医を受診し、子宮鏡検査をすることをお勧めします。
(ハコラク 2018年10月号掲載)
略歴
平成10年、札幌医科大学医学部を卒業し、札幌医科大学産婦人科教室入局。道内関連病院での臨床を経て、札幌医科大学産婦人科学講座助教として臨床と研究に従事。平成20年からレディースクリニックぬまのはた院長、平成22年、浅田レディースクリニック副院長、神谷レディースクリニック副院長を歴任後、平成26年4月、さっぽろARTクリニックを開院。
さっぽろARTクリニック
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