日本では毎年30万人ががんで亡くなっています。がんは人類が避けることのできない病気ではありますが、がんで命を落とす確率を下げることはできます。がんの原因は、遺伝によるものはわずか5%で、ほとんどは生活習慣病によるものです。禁煙、節酒、肥満の解消は、確実にがんの予防策となります。WHOは、「がんを確実に予防する効果があるのは運動」と報告しています。また、ウイルスや細菌もがんの原因となります。B型・C型肝炎ウイルスは肝がんを引き起こし、ヘリコバクター・ピロリ菌は胃がんのリスクです。16型、18型ヒトパピローマ・ウイルスは子宮頸がんを起こします。感染しているかどうか一度も検査したことがない人は、ぜひ検査をお勧めします。肝炎ウイルス、ピロリ菌は治療が可能ですし、パピローマ・ウイルスはワクチンが有効です。 また、「がん検診」を活用して早期に発見することもできます。がん死亡率を明らかに低下させる検診が5つあります。胃がんに対する胃X線または胃内視鏡、子宮頸がんに対する細胞診、乳がんに対するマンモグラフィー、肺がんに対する胸部X線、大腸がんに対する便潜血検査です。国はこれら5つのがん検診を奨励し、健康増進法に基づいて市町村が実施しています。各市町村によって料金や対象年齢が異なりますので、住んでいる市町村のホームページで確認してください。低料金で(自治体によっては無料の所も)、しかもがん発見の効果もありますので、欠かさず受けることをお勧めします。検診の結果、精密検査が必要と判断された場合は、必ず二次検査を受けて下さい。
予防と検診によって、がんで命を落とす人が1人でも少なくなることを願ってやみません。
(ハコラク 2018年10月号掲載)
略歴
昭和62年、北海道大学医学部卒業後、北海道大学附属病院、函館市医師会病院、函館赤十字病院などを経て、平成28年から函館中央病院に勤務。
函館中央病院
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http://www.chubyou.com/
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