上手な睡眠と1日のリズム(概日(がいじつ)リズム)を保つコツ
地球上に住む生物はその進化の中で、地球の自転による昼夜の24時間に合わせる仕組みを創り出しました。これが体内時計(生物時計)と呼ばれるもので、その周期が〝概(おおむ)ね1日のリズム〟であることから「概日リズム」と言われています。その体内時計の中枢は脳内の視床下部(ししょうかぶ)と言う場所にあり、そこから睡眠や体温・血圧などに関する指令が全身の組織に送られています。
それでは睡眠を中心に概日リズムを考えてみましょう。①概日リズムは朝に日の光を浴びることで体内時計がリセットされ、それによって夜にメラトニンホルモンが分泌され眠たくなります。従って就寝時間がある程度遅くなっても、朝の起床時間を一定にすることが重要で、順序として〝早起き・早寝〟が理にかなっています。②就寝のころには青白い昼光色の照明やデジタル機器の光を抑え、赤色系の白熱灯や間接照明にすることも有効です。そうすることによって睡眠を促すメラトニンを増やすことができます。最近概日リズムのずれによる不眠に対して、メラトニン受容体作動薬も発売されました。③睡眠は深い眠りと浅い眠りが交互に現れ、合わせて約90分の周期を一晩で4~5回くりかえしています。従って翌日、眠気が残らない程度に90分の倍数の6.0時間、7.5時間を目安に睡眠時間を決めれば良いでしょう。④昼寝・仮眠は睡眠が深くなり過ぎないように20分以内に切り上げるようにすれば、眠気も残らず効率的に次の活動に移ることができます。夜勤などにおいても20分仮眠が望ましいとされています。⑤食事時間も概日リズムを保つのに重要で、朝日に当たるのと同様に朝食が体内時計をリセットしますので、一日の中で特に朝食に重点を置くことが大切です。
皆さまも大自然のサイクルに同調した、概日リズムを保つコツを試してみてはいかがでしょうか。
(ハコラク 2019年4月号掲載)
略歴
昭和50年、北大医学部卒業(胃・大腸・肝・胆・膵〈すいぞう〉疾患、内科学を専攻)。函館共愛会病院、国立西札幌病院内科、函館市医師会病院消化器科などで勤務。平成8年、山城消化器科内科クリニックを開業。
山城消化器科内科クリニック
函館市美原5-19-2 ☎0138-47-7011
■診療科目/消化器科・内科
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