遺伝学的検査・遺伝カウンセリングをご存知ですか?
遺伝子診断や遺伝子治療などはここ10年の間に急速に進歩してきました。現在では「自分こそは健康だ」と思っている人でも10個程度の遺伝病の遺伝子を持っていると考えられます。人間とは決して完全な存在ではないということが遺伝医学の進歩でわかってきたのです。
遺伝学的検査とは、ヒト遺伝学的検査は単一遺伝子疾患、多因子疾患、薬物などの効果・副作用・代謝、個人識別に関わる遺伝学的検査など、原則的に生涯変化しない、その個体が生来的に保有する遺伝学的情報を明らかにする検査です。がん細胞特有の遺伝子の構造異常などを検出する遺伝子検査など疾患病変部・組織に限局し、病状とともに変化し得る一時的な遺伝子情報を明らかにする検査はヒト体細胞遺伝子検査と呼ばれ、少し内容が異なります。
遺伝情報には「生涯変化しない」「血縁者間で一部共有されている」「将来の発症を予測することが可能な場合がある」などの特性があるため、遺伝学的検査や診断を行う際十分考慮する必要があります(日本医学会のガイドライン)。
遺伝カウンセリングは、「遺伝学的検査」を受ける前、結果を知るとき、その後の相談をしたいときに受けられます。診断されても「遺伝病」ならばどうせ治らないし受けても仕方ない、という声もお聞きしますが、情報は日々更新され、治療法の研究も進んでいます。患者さんやご家族の今後についてさまざまなことをお伝えできます。
すでに治療されている患者さんは、主治医の先生と連携をとって受診していただけます。私達は遺伝の専門家ですが、治療の中心は主治医の先生です。現在、道南地域には臨床遺伝専門医が3人おります。専門領域についてはお問い合わせの上でご相談ください。
(ハコラク 2019年4月号掲載)
略歴
平成5年、北海道大学医学部卒業後、同大学病院医学部附属病院小児科、東京都立大塚病院新生児科、同院小児科、東京都立北療育医療センター小児科などを経て、平成26年、函館中央病院小児科医長に就任。日本小児科学会小児科専門医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。
函館中央病院
函館市本町33-2 ☎0138-52-1231(代)
http://www.chubyou.com/
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