閉塞性動脈硬化症について
全身の動脈は加齢によって動脈硬化が起きます。さらに高血圧、糖尿病、コレステロールが高い人、そして喫煙者では血管が狭窄や閉塞して下肢に十分な血液が流れなくなることがあります。これが〝閉塞性〟動脈硬化症です。典型的な症状は歩くと足が痛くなり休むとまた歩けるようになる間歇性跛行で、この病気の約3割にみられます。さらに喫煙者は非喫煙者の約3倍にもなります。
症状は4つの段階があります。まず下肢の冷えやしびれ、次は間歇性跛行です。3番目はじっとしていても起こる痛み、最終段階は皮膚潰瘍と壊死です。
初期の冷えやしびれは血管以外の病気でもみられます。また、間歇性跛行は腰部脊柱管狭窄症という整形外科の病気でも生じます。診断を確定するための最も簡便な検査は手足の血圧を測定して足関節上腕血圧比を求めるものです。異常があれば血管エコーやCT検査で、血管の狭いところや途絶えているところを明らかにします。
まず、治療の前提は禁煙です。ただし禁煙によって症状が改善するわけではなく病気の進行を防ぐ目的です。最初は薬物療法で下肢への血流を増やすようにします。狭窄や閉塞が軽度の場合は運動療法を併用して血流の増加を促します。重度の場合はカテーテル手術で血管を広げたり、閉塞部位を再開通させます。病変が複雑な場合はバイパス手術になります。壊死が進行した場合は下肢を切断せざるを得ません。
閉塞性動脈硬化症にはもうひとつ重大な問題があります。それは心臓や脳の血管にも狭窄や閉塞が合併していることです。心臓は約半数、脳血管は約2割です。下肢血管は全身の動脈硬化の一部を見ているに過ぎないことを忘れてはいけません。当てはまる症状がある場合、特に70歳以上の高齢者は積極的に病院を受診しましょう。
(ハコラク 2019年3月号掲載)
略歴
昭和62年、京都大学医学部卒業。自治医科大学心臓血管外科にて医療情報部長、中央手術部教授、病院長補佐を歴任後、平成26年4月、こにし内科・心臓血管クリニック開院。日本心臓血管外科学会心臓血管外科専門医。
こにし内科・心臓血管クリニック
函館市末広町3-15 ☎0138-83-2080 http://www.konishi-clinic.net/
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