小児の膝関節の痛み
膝関節の痛みを訴えて外来を受診される子供さんは少なくありません。中にはお母さんが「子供の関節痛だから成長痛と思って様子を見ていた」と、発症から1カ月以上経って来院されるケースもあります。成長痛は3~12歳によく見られ、膝周囲の痛みが夜間安静時に出現し、数時間で消えて日中は普通に生活しているのが特徴で、X線や血液検査では異常を認めません。多くは積極的な治療を必要としませんが、ほかの疾患との鑑別診断が重要です。
子供の膝関節痛の原因は実に多岐に渡り、中にはまれに重篤な疾患もあるので注意が必要です。鑑別すべき代表的疾患としては①外傷(骨折、脱臼、靭帯損傷など)。子供の場合、最初X線で明らかな異常を認めない場合もあります。また、円板状半月板など先天的異常が関連していることもあります。②腫瘍(白血病、骨肉腫、ユーイング肉腫など)。骨肉腫・ユーイング肉腫は5歳以降10代で発症し骨盤・大腿骨・下腿骨に好発します。局所の熱感、増悪する痛みや腫れに注意が必要です。③感染症(細菌やウイルスなどによる関節炎や骨髄炎)。発熱や関節の腫れ熱感、歩行不能、患部を動かさないなどの症状があり新生児や乳児にもよく見られます。④成長期のスポーツ障害・外傷(オスグッド病に代表される使い過ぎによる筋腱疾患、疲労骨折など)⑤若年性特発性関節炎(JIA)。16歳未満に発症し、6週以上続く原因不明の慢性関節炎で自己免疫疾患です。⑥血友病性膝関節症⑦股関節疾患の関連痛(ペルテス病、大腿骨頭すべり症、股関節炎、股関節形成不全など)。そのほかにも多くの疾患が子供の膝関節痛や歩行障害の原因になりえます。
また、疾患によっては成長軟骨に影響して変形や脚短縮などをきたすこともあり、注意深い経過観察が必要です。ご心配な点があれば我々整形外科医にご相談下さい。
(ハコラク 2019年1月号掲載)
略歴
佐賀医科大学卒業後、久留米大学整形外科教室に入局し同院麻酔科、門司労災病院整形外科、聖マリア病院整形外科、福岡県立柳川病院整形外科、亀田病院整形外科などの勤務を経て、平成9年9
月、こが整形外科クリニック開院。日本整形外科学会整形外科専門医。
こが整形外科クリニック
函館市時任町23-9 ☎0138-54-0020
■診療科目/整形外科、リハビリ科、リウマチ科
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