苦痛の少ない内視鏡検査 経鼻内視鏡と新しい大腸内視鏡
昭和57年以来、日本人の死因の第1位はがんであり、平成28年には約37万人ががんで亡くなっています。最新の統計では、死亡数第1位肺がん、第2位胃がん、第3位大腸がんで、罹患数第1位胃がん、第2位大腸がん、第3位肺がんです。胃がんの死亡率は昭和30年以来大きく減少し罹患率も減少傾向ですが、罹患率は70~84歳で増加傾向です。大腸がんは死亡率、罹患率とも近年は横ばいで経過しています。
胃がんのほとんどはピロリ菌による慢性胃炎を背景に発症し、ピロリ菌の除菌により胃がん発生のリスクが減少します。5年前から、慢性胃炎に対する除菌療法が保険適応になりましたが、除菌前に内視鏡検査を行って胃炎を診断し、胃がんがないことを確認する必要があります。また、除菌後の胃がん発生はゼロにはならず、内視鏡検査による定期的な観察は欠かせません。
昭和25年に胃カメラが学会報告されて以降、内視鏡機器は年々改良され、平成12年に鼻から挿入する内視鏡(経鼻内視鏡)が登場しました。経鼻内視鏡は、経口内視鏡と比較し、舌の付け根に触れずに食道へ挿入されるため咽頭反射が起きにくく(オエッとなりにくい)、検査中は会話が可能です。より詳細に病変を観察するための画像強調という方法や画質の向上により、患者さんに優しく、かつ、見落としの少ない検査が可能になってきています。
また、大腸内視鏡も改良が進み、大腸の屈曲をスムーズに越える工夫により挿入時の苦痛が緩和されるようになりました。画像強調による観察、拡大観察、画質の向上、見える範囲の拡大により、大腸内視鏡も、患者さんにやさしく、かつ、見落としの少ない検査になってきています。
胃・大腸がん検診で異常を指摘された方、ピロリ菌検査で陽性の方、腹痛・便秘・下血などの症状のある方は、内視鏡検査を受けられることをお勧めします。
(ハコラク 2018年11月号掲載)
略歴
平成16年、旭川医科大学医学部卒業後、北海道勤労者医療協会勤医協中央病院の卒後臨床研修医、道東勤医協釧路協立病院内科・外科、勤医協中央病院外科、がん研有明病院消化器外科、岩手県予防医学協会勤務を経て、千葉医院に勤務。日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本外科学会外科専門医
千葉医院
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