大動脈弁狭窄症に対するTAVI治療
経カテーテル大動脈弁治療(TAVI)は、重症の「大動脈弁狭窄症」に対する新しい治療法です。心臓は血液を全身に送るポンプの働きをしていますが、大動脈弁は心臓からの出口にある弁で、送り出した血液が逆流しないよう、心臓の拍動に合わせて開閉しています。この大動脈弁が加齢などにより石灰化して硬くなり開きにくくなることで、血液の流れが妨げられてしまう病気が大動脈弁狭窄症で、近年、高齢者を中心に増加しています。
大動脈弁狭窄症は、胸痛や息切れ・失神などの症状が出現しますが、重症化して心不全を発症すると1~2年で亡くなる人が多い重大な病気です。しかし、治療が必要な患者様のうちごく一部しか病院を受診されていないのが現状で、特にご高齢の患者様において、「息切れや体がだるいのは歳のせいだから」と考えられて受診されていないことが少なくありません。
大動脈弁狭窄症に対する根本的な治療は、外科的な大動脈弁置換術という手術を行うことです。しかし、大動脈弁狭窄症は高齢であったりほかに重大な病気をもっている方に多いため、外科的な手術が適さないケースがたくさんあります。このような患者様に対し、開発されたのが、TAVIです。TAVIは機能が低下している大動脈弁に対し、カテーテルと呼ばれる医療用の管を用いて人工の弁と置き換える治療法です。太ももの付け根の太い血管からカテーテルを挿入する経大腿動脈アプローチや、肋骨の間を小さく外科的切開して挿入する経心尖部アプローチなどがあります。 外科的手術に比べ体に対する負担が小さいため、これまで外科手術に耐えられないと考えられて治療適応にならなかったご高齢の方やほかの重症疾患をお持ちの方でも、TAVI治療であれば治療対象となる可能性があります。息切れ・胸痛などの気になる症状がある方は早めの病院受診をお勧めします。(ハコラク 2018年11号掲載)
略歴
平成17年、北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、北見赤十字病院、小倉記念病院を経て市立函館病院勤務。日本循環器学会循環器専門医。
市立函館病院
函館市港町1-10-1 ☎0138-43-2000(代) http://www.hospital.hakodate.hokkaido.jp/
■診療科目/消化器内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器外科、心臓血管外科、精神神経科など全30科目
■外来診療受付時間/8:30~11:30、午後は予約患者のみ
※診療科によって異なるので詳しくは問い合わせを
■休診日/土・日曜・祝日
がん相談支援センター開設時間/8:30~17:00(土・日曜、祝日を除く、内線3289)
なんでも相談コーナー開設時間/8:30~17:15(土・日曜・祝日を除く、内線4112)