歯科におけるデジタル時代
コンピュータによる設計、いわゆるCAD(コンピュータ・エイディッド・デザイン)は戦後間もなく考案された工業技術です。トランジスターの完成により技術革新が起き、1970年代には工業界で3D技術開発が開始され、約50年の歴史があります。
工学分野で洗練されたCAD技術は、歯科の世界でもこの20年で応用され始めており、CAD/CAM(コンピュータ・エイディッド・マニュファクチャリング)と呼んでいます。3Dカメラで治療箇所を撮影し、その情報を元にコンピュータが歯型のデータを設計。3D切削加工機がブロック材料から削り出し製作します。切削加工機は、粉末を積層して作成する3Dプリンターとは違い、均一材料で仕上げるため「強度にムラが出にくい」というメリットがあります。現在ではこのように作られる白い被せ物がほぼ保険適用となっています。
保険適応のCAD/CAMのメリットは、①白色なので銀歯に比べ見た目が良い②金属アレルギーがない③被せ物の硬さがそれほど強くないため、かみ合う歯にダメージを与えにくい。という点があります。金属アレルギーを考えなくて良くなったという点で画期的な修復材料となりました。一方、デメリットは、①かみ合う歯に硬いセラミックなどを入れている場合、割れてしまうことがある②主成分はプラスチックなので汚れを吸収してしまう③強度を保つため歯を削る量が多くなり痛みが出やすい④すべての歯に対して保険適用ではない、という点が挙げられます。
残念ながら虫歯になってしまい、被せ物が必要になった場合、保険適応の銀歯、保険適応外のゴールド、セラミックを含めると治療の選択肢はたくさんありますが、治療法の一つとしてCAD/CAMもあるということをぜひとも知っていただき、かかりつけ医と相談の上、より良い選択ができればと思います。
(ハコラク 2023年3月号掲載)
略歴
平成16年、岩手医科大学を卒業。平成18年、同大学口腔顎顔面再建学講座入局。平成19年、同大学大学院に入学し、平成23年に卒業。道内外の歯科勤務を経て平成28年、シュンデンタルクリニック開院。岩手医科大学非常勤講師。歯学博士。
シュンデンタルクリニック
函館市石川町461-38
☎0138-47-3737
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■診療科目/歯科、歯科口腔外科、小児歯科、矯正歯科
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