老後の口腔内、快適に過ごすには
私たち歯科医療関係者は30年以上をかけて8020運動(80歳で20本以上の歯を残す)を軸にした歯を残す治療を推進し、結果として現在50%以上の高齢者が8020を達成しました。これは喜ばしいことなのですが、皆さん自分の口の中を見てください。歯が残ってはいても歯周病の管理が適切にされていないために歯ぐきが腫れている、出血を繰り返している、歯がグラグラして痛くてかめない、不適合な冠や前装冠(昔でいう差し歯)のため食べカスが挟まり歯磨きがしづらい、年齢と共に歯ぐきが下がってきて根の表面が虫歯になる根面カリエスなどの問題が発生、放置されてしまっていませんか?
昨日まで歯科医院に自力で通院していて、歯周病のメンテナンスに通っていた人が、何らかの理由、例えば家族の介護で忙しくなったり、自身の病気が原因で歯科への通院が困難になったなどで、今までできていた自身の口腔ケアができなくなったり、歯科医院との接点が一時途絶えてしまい、オーラルフレイルが進行し口腔内の状況が悪化していくのに、歯止めがかからなくなるケースが増えています。平均寿命は男性が80歳を超え女性では87歳に達しています。対して健康寿命は72~75歳です。これを過ぎると平均寿命までの間は日常生活で何らかの支援を受けなければならない可能性が増えてきます。そうなると抜歯を含めた歯の治療や、義歯の作製・調整などが困難になることが予想されます。
「予後不良の歯の抜歯」「食べカスや歯垢がつまりやすい不適合な冠や詰め物を作り直し口腔ケアをしやすい口腔内に整備する」「根面カリエスの処置をすませておく」「義歯の方は適合がよくかめる義歯を作る」「歯周病のメンテナンス」など、健康寿命の間に、このような点についてかかりつけ歯科医院で相談し、準備しておくことが大事だと考えます。
(ハコラク 2019年5月号掲載)
略歴
平成5年、日本大学歯学部卒業。平成8年、現在地でカワムラ歯科クリニックを開業。平成18年、函館歯科医師会理事、函館市介護認定審査委員に就任。
カワムラ歯科クリニック
函館市松陰町2‐7 ☎0138‐51‐6665
■診療科目/歯科
■診療時間/月~金9:00~12:00、14:00~17:00
※月・水・金曜は夜間診療18:00~20:00
土 9:00~12:00
■休診日/日曜・祝日