大門地区に不燃の社を構え
地域の人に愛される暮らしの守り神
「大森稲荷神社」の歴史は、度重なる大火に見舞われ詳細が失われてしまったが、「弘化三年再建」(1846年)と書かれた棟札や、1669年の地図上に「大森」の名が記されていることから、創建は350年ほど前と推定されている。商売繁盛、五穀豊穣、大漁満足などのご利益がある宇迦之御魂大神を御祭神に、古くは現在の函館市立あさひ小学校近くに、海に面して祭られ、1907年の大火で類焼後、現在地に移転。さらに34年の函館大火でも類焼したが、炎に焼かれた跡のある狛犬と二の鳥居は今も残されている。
太陽を臨む方角に建つ神社が多い中、かつて大森遊廓を中心に歓楽街として栄えた大門地区に面して祭られ、人々の暮らしの守り神として信仰を集めてきた。現在の社殿は、神社の加護に感謝した実業家の寄進により、再び燃えることが無いよう鉄筋コンクリート造に再営され、境内には飲食店で働く人たちが中心となり料理人の魂である包丁を祭る「庖丁塚」も建立された。参道沿いに鎮座する神の使い・白狐が赤い布でほっかむりする姿は、「野ざらしになってはかわいそう」と近隣に住む参拝者が何十年も前から手掛けているもので、地域と共に歩み、人々にいつくしまれる神社となっている。
(ハコラク 2021年11月号掲載)
大森稲荷神社
函館市大森町22‐6
☎0138‐22‐2637
社務所10:00~17:00
無休
境内に駐車可