2つの町のあゆみをつなぎ
文化交流の〝道〟として役割を過去から未来へ連綿と紡ぐ
2006年に旧上磯町と旧大野町が合併し誕生した北斗市。両町が繋いできたこれまでの長い歴史と、また将来へと「地域の人びとのあゆみ」の軌跡を残そうと2014年、北斗市郷土資料館が現在の場所に移転オープンした。「歴史」「暮らし」「産業」「文化財」「人物」と区分し、縄文土器、石器、産業の歩みや、農機具、漁具、生活用品などを常設展示。「矢不来館跡」や日本で初めて作られた西洋式の星型城郭「松前藩戸切地陣屋跡」の出土品や国の重要文化財に指定されている「人形装飾付異形注口土器」のレプリカも展示している。
古くから北斗市は北海道と本州の文化交流地点として発展してきた。その片鱗はすでに縄文時代の土器からもうかがえるといい、市教育委員会社会教育課の学芸員・時田太一郎さんは「縄文時代の津軽海峡を挟む両岸で発掘された土器の文様や形に類似点が見られるなど深い関わりを感じる」と話す。古くから蝦夷地と和人地の境界に接した地域だったことをうかがわせる遺物、幕末期の動乱を物語る資料もある。近代の人々の生活にも触れ、今に続くセメント工場の成り立ちといった旧上磯町発展に寄与した産業の様子、宿場町だった旧大野町がなぜ今の農業地としての地位を築いたのか、農耕器具を通してその一端に触れられる。
(ハコラク 2021年4月号掲載)
北斗市郷土資料館
北斗市本町1‐1‐1 北斗市総合分庁舎2F
☎0138‐77‐8811(代)
9:00~17:00
休館日/第1月曜・年末年始
入館料/無料
P有り