北の大地に生きる民族の固有の文化や歴史と
研究者たちの情熱を紹介
1993年にリニューアルオープンした「函館市北方民族資料館」は、1926年築の旧日本銀行函館支店を活用し、アイヌやウイルタなど北方先住民族の衣服や狩猟道具、儀式具などテーマごとに分けて展示。開拓使や篤志家が1879年から86年に掛けて収集した函館博物館旧蔵資料や、世界的な北方民族研究家・馬場脩氏、元北大名誉教授・児玉作左衛門氏がそれぞれ研究し収集したコレクションなど、世界的にも学術的にも価値の高い資料を揃えている。
北海道は教科書で学ぶ日本史と異なり独自の時代を歩んできた。6世紀から14世紀までの間、道南の一部を除き道内各地で発展していた文化形態は未だ不明瞭な部分も多いが、東北のほか樺太や千島一帯の北方文化も流入していたのではないかと推察されている。また、アイヌの人々は〝交易の民〟とも呼ばれ、道外にも広く足を延ばしていたと考えられており、北海道には無かった木綿が使われている衣装や毛皮を用いた防寒具といった衣類、タバコ、キセルなどの嗜好品にその影響を忍ばせている。このほか、細かな彫刻が施された日用品や儀式道具、楽器、宝飾品などの豊かな文化が感じられる品々が並ぶ。展示品に添えられた分かりやすい解説を読み解き北方民族への知識を深めたい。
(ハコラク 2021年4月号掲載)
函館市北方民族資料館
函館市末広町21‐7
☎0138‐22‐4128
9:00~17:00
(4~10月は19:00まで)
休館日/12月31日~1月3日
(ほか臨時休館有り)
入館料/一般300円、 学生・生徒・児童150円、
未就学児無料 65歳以上の市内在住者は半額