日本で最後に築城された旧日本式城郭
城を中心に発展したサクラの名所
「松前城」を含む「松前公園」は250種1万本を超えるサクラの木がある名所。開花時期は例年4月下旬で、開花に向け養分を蓄える木々の姿もまた趣深い。1935年に国の史跡に指定された「松前城」(正式名・福山城)は、1854年に完成した最後の旧日本式城郭。箱館戦争や開拓使の取り壊し、太平洋戦争を経てかろうじて残った天守だが、1949年に飛び火で焼失、60年に再建された。築城当時のまま残る本丸御門は、国の重要文化財に指定されている。
「松前城」本丸跡の一部を境内に建立された「松前神社」は、松前家の祖である武田信広(1431~94年)を祀った神社。今の社殿は1923年築の総ヒノキ造りで、本御影石の鳥居は信心深い北前船の船頭が奉納したもの。松前城の北側にある寺町は、往時は大小15の寺院があった。現存する寺の一つ「光善寺」は16世紀に建立された浄土宗の寺院で、19世紀中頃に造られた庭園と、松前町の三大名桜の血脈桜が美しい。
松前公園北側にある国内最大級の石碑群は、近代詩文書の父と呼ばれた松前町出身の書家・金子鷗亭(1906~2001年)の功績をたたえる「北鷗碑林」。鷗亭の銅像、鷗亭本人や著名な書家の書碑120基が立ち並び、書の世界を堪能しながら散策も楽しめる。
(ハコラク 2020年5月号掲載)
【松前城】
松前町松城144
問い合わせ/松前城資料館 ☎0139‐42‐2216
資料館は4月10日~12月10日
9:00~17:00(入館は16:30まで)
無休 P有り
入館料:大人360円、小・中学生240円、幼児無料
【松前神社】
松前町松城145
☎01394‐2‐2032
P有り
【北鷗碑林】
松前公園内北側
問い合わせ/松前町商工観光課
☎0139‐42‐2275(代)
【光善寺】
松前町松城303
☎0139‐42‐2680