道内最古の警察庁舎を建設当初の姿に復元した研究施設
新しさの中にある古風な趣に魅せられる
函館市の景観形成指定建築物を利用した水産・海洋関連産業の研究施設「函館市臨海研究所」は、カーブを描く正面玄関と洋風縦長の窓が映える鉄筋コンクリート造2階建て。1926年に函館水上警察署として建築され、後に函館西警察署庁舎として84年まで使用されていた。経年と潮風による劣化が深刻で2006年に解体、改修、腰壁の石や車止めなどを再利用し当時の意匠で復元再生。翌年、函館国際水産・海洋都市構想の拠点となる研究所として供用をスタートした。現在、計6区画の研究室には函館や首都圏の企業が入居し、水産海洋データの集積や、海藻由来の化粧品製造開発などの研究に取り組んでいる。一般利用も可能な会議室を備え、研究室の一部は誰でもガラス越しに見学が可能。洗い出し工法で再現された重厚感あふれる外壁、大正時代から時を刻み今も活用されているワックスで磨きあげられた階段や手すり…。新しさと古さが同居する施設に知的好奇心が満たされる。
(ハコラク 2019年11月号掲載)
函館市臨海研究所
函館市大町13‐1
☎0138‐27‐7301
9:00~17:00
土・日曜、祝日、 年末年始休館
P有り