目は口ほどに物を言う
「目は口ほどに物を言う」ということわざをご存じでしょうか。「目は、言葉で説明するのと同じように、相手の人に気持ちが伝わるものだ」「言葉に出さなくても、目の表情で相手に伝えることができる」といった意味があります。似たような意味の言葉に「目が物を言う」「目は心の鏡」などがあります。人が喜怒哀楽の感情をとても顕著に表すのが目だということから、何も発言せずとも、目つきから相手の感情が分かるものだというのが由来です。
眼科医は常日頃、患者様の目を診ています。患者様との問診の中に病気のヒントが隠されているとともに、頭皮から顔、まぶたや皮膚、指や爪などを診ておりますので、目だけを診ているわけではありませんが、目を診察することによってその患者様の目だけではなく全身状態が分かることもあります。このことわざの意味とは少し違いますが、「目」を診ることで目の病気だけでなく身体のことが分かったらすごいと思いませんか?
角膜の混濁具合で不整脈の治療薬を服用していること、まつ毛の曲がり具合で抗がん剤を服用していることがうかがえます。結膜や強膜の充血具合で悪性リンパ腫が疑われること、眼内の炎症によってサルコイドーシスという肺疾患が疑われること、眼底検査で網膜血管をみることにより血管の動脈硬化性の変化をとらえて高血圧や高脂血症が、また、網膜出血の程度で糖尿病が疑われることやRoth斑という眼底出血で白血病が疑われることもあります。瞳を拡げる点眼剤の効き具合で前立腺肥大症の治療薬を服用していること、視神経の乳頭浮腫によって頭蓋内圧亢進が疑われることのほか、眼や瞳孔の動きで脳血管疾患が疑われることなど、目を診察することによって身体のいろいろなことが推測できます。身体の健康診断はもちろん大事ですが、「目」の健康診断も受けてみてはいかがでしょうか?
(ハコラク 2021年12月号掲載)
略歴
平成15年、山形大学医学部卒業。同年同大医学部眼科学教室へ入局。山形県立中央病院、公立置賜総合病院、函館市内の眼科などの勤務を経て、令和元年10月、はこだて港町眼科を開院。日本眼科学会眼科専門医。
はこだて港町眼科
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