糖尿病性腎症は根気強い治療が重要
糖尿病では、高血圧症、高脂血症を合併することが多く、高血糖による毛細血管の障害である網膜症、神経症、腎症などの3大合併症に加え、動脈硬化の進行に伴う心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症といった心臓・血管疾患の合併症リスクが増大することが大きな問題です。
特に糖尿病性腎症では、腎不全の進展に伴い、透析導入に移行する例も増えており、透析導入の原因の第1位となっています。医療費の高騰を招く点からも腎症進展を防ぐことは医療上、重要な問題となっています。国の号令のもと、腎症の進展防止のための糖尿病専門部会が南渡島地区にもあります。
糖尿病性腎症の初期には自覚症状がほとんどなく、病状の進行に伴いタンパク尿、浮腫、ネフローゼ症候群、腎不全症状が出現してきますし、動脈硬化性病変の合併、進展による心不全症状も認めるようになり、これが生命予後に悪い影響を与えています。糖尿病状態を見逃された勤労世代、治療の機会を逃した若年者や中年者が、後に糖尿病性腎症を発症してくることが多く、それが医療上、重要な関心事項となっているのです。
糖尿病性腎症の治療としては、もちろん血糖コントロールが大変重要ですが、血圧、脂質のコントロール、水分摂取(脱水防止)も大切な要素です。治療目標は、血糖値でHbA1c-7.0%未満、血圧は130/80mmHg未満、LDL-コレステロールは130mg/dl未満を目指します。目標達成のため、服薬の数が多くなる傾向にあり、このため治療を中断してしまう患者さんも多いことが大きな問題点なのですが、医師とよく相談の上で、根気良く治療することが重要です。高血糖状態を長時間放置することが、糖尿病性腎症の進展に大きく関与しており、定期的な尿検査、血糖検査によって、早期に糖尿病を発見し、血糖値の厳格なコントロールに加え、血圧と脂質も厳重に管理することが大変重要です。かかりつけ医での定期的な検尿、血糖値測定をぜひ実施してください。
(ハコラク 2021年12月号掲載)
略歴
昭和56年、札幌医科大学卒業。札幌医科大学附属病院第一内科、札幌慈啓会病院、函館五稜郭病院消化器内科、医療法人社団官尾医院勤務を経て、平成17年、平田博巳内科クリニック開業。日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。平成3年、第4回日本内科学会奨励賞受賞。
平田博巳内科クリニック
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