大動脈弁狭窄症に対する
TAVI(タビ)治療専門施設
大動脈弁狭窄症は、心臓弁の一つである大動脈弁が硬化し開閉が妨げられてしまう病気で、近年、高齢者を中心に増加しています。治療法には、薬物治療、外科的大動脈弁置換術(AVR)、バルーン大動脈弁拡張術(BAV)、そして経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)があります。薬物治療は根本的な治療法ではなく、AVRは身体への負担が大きく合併症のリスクもあります。BAVも予後の改善にはつながりませんでした。このような問題を克服するため、カテーテルで生体弁を留置する新しい治療法が、経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)です。TAVIは開胸せずに治療を行うため、外科手術と比較し身体への負担が小さいことがメリットです。外科手術適応にならなかった場合でも、TAVI治療であれば治療対象となる可能性があります。
画期的な治療ではありますが、甚大な合併症を生じる可能性もあるため、TAVIを実施するための施設認定基準はとても厳しく、高度な技術が必要です。施設の治療導入には専門審議会の厳正な審査を受けなければなりません。①年間20件以上の大動脈弁置換術や年間200件以上の冠動脈に関する血管内治療などの治療実績②開心術が可能な設置型透視装置を備えているハイブリッド手術室などの設備機器③常勤心臓血管外科専門医、循環器専門医(各3人以上)・日本心血管インターベンション治療学会専門医(1人以上)在籍など、以上3点を満たしてはじめて認定されます。現時点でTAVI実施認定施設は、全国で196施設、北海道内では当院を含む10施設です。
このTAVI認定施設の上に、過去数年間の年間平均50症例以上のTAVI治療実績などのさらなる厳しい基準を満たした「TAVI専門施設」があります。専門施設の認定を受けているのは全国で50施設、北海道内では当院を入れて3施設のみです(2021年8月17日現在)。大事な心臓に対する治療を選択する上で、「TAVI専門施設」も参考にしてください。
(ハコラク 2021年11月号掲載)
略歴
平成17年、北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、北見赤十字病院、小倉記念病院を経て市立函館病院勤務。日本循環器学会循環器専門医。
市立函館病院
函館市港町1-10-1
☎0138-43-2000(代)
https://www.hospital.hakodate.hokkaido.jp/
■診療科目/消化器内科、呼吸器内科、循環器内科
消化器外科、心臓血管外科、精神神経科など全30科目
■外来診療受付時間/8:30~11:30、午後は予約患者のみ
※診療科によって異なるので詳しくは問い合わせを
■休診日/土・日曜・祝日
がん相談支援センター開設時間/8:30~17:00
(土・日曜、祝日を除く、内線3289)
なんでも相談コーナー開設時間/8:30~17:15
(土・日曜・祝日を除く、内線4112)