函館市農林水産部がまとめた市水産物地方卸売市場での9月の生鮮スルメイカ取扱量は、前年比44%(37トン)減の49トンとなった。統計の残る2005年以降では、9月単月で20年の86トンを下回り、過去最低を更新。極端な薄漁を反映し、1キロあたりの平均単価は同14%(104円)高い834円と過去2番目の高値だった。
同部によると、9月単月の取扱量は18年以降、3年連続で過去最低を更新していた。取扱金額は同35%減の4084万円。出漁日数は昨年より7日多い24日だった。今季の漁期(6~9月)の合計では、取扱量295トン(同7%増)で過去2番目に少なく、金額は2億2126万円(同7%減)、単価は750円(同13%減)。
9月の漁獲について、同部は「漁期初めから小ぶりだった魚体サイズはだいぶ例年通りになってきた。数量の厳しい状況は変わらず、平均単価は薄漁などを反映した」とみる。
函館頭足類科学研究所の桜井泰憲所長は「9月は出漁隻数が少なく、水温が高くなる8月末から9月にかけて夏枯れ(一時的に群れが途切れる現象)も起きたと考えられる。日本海の秋生まれ群は韓国やロシア近くの海域を来遊し、津軽海峡を通って太平洋に来るイカが少なかった」と指摘。「10月以降は、冬生まれ群が道東から道南太平洋に戻ってくるが、群れが薄いため、急激に漁が上向くことはないだろう」としている。
道総研函館水試の三原栄次主任主査は「日本海から津軽海峡に来るイカが少なく、根室・花咲港で豊漁となった道東方面からのイカも、日高管内浦河や苫小牧などで捕れており、道南太平洋にはそれほど到達していない。道東からの群れが南下してくれば、10月は道南での漁獲が上向く可能性がある。ただ、水温の変化などで群れが続かないケースもある」と話す。(山崎大和)