長引く痛みと、日常の起居動作
起居動作とは「寝返り」「起き上がり」「立ち上がり」「坐る」などの姿勢変換のための動作のことを指します。病気やケガはある一定の時間で治癒し痛みが残らない人が大多数です。しかし、病気が治癒する時間が過ぎても、痛みの残る人が、ある一定の割合でいます。
どうして、痛い人と、治る人に差があるのでしょうか?
痛みとは何かを知ると、理解できるかもしれません。
痛みは身の安全を守るために、危険を知らせる警告信号です。警告信号ですから、必ず守らなければ、身に危険が及ぶかもしれません。
たとえば、画びょうが刺さった時、痛いので気が付きます。画びょうを抜くと、自然に痛みも無くなります。体内で痛みを止める物質が出て、自然に痛みを消してくれます。何気ない日常起居動作で、痛みを止める物質を使っている事が多くあります。大部分の人は、それに気付いていません。
立ち上がる時の動作で「ドッコイショ」と無意識で言う人がそうですが、椅子からの立ち上がり、床からの立ち上がり、中腰からの立ち上がりと起居動作の時、痛みを感じないように、体内の鎮痛物質を無駄に使っている可能性が高いです。
特に帯状疱疹の痛みの原因は皮膚ではなく神経の炎症にあり、神経での長い炎症が続くため、強い痛みが長く続きます。帯状疱疹が原因で腰下肢痛、頚部痛、上肢痛、顔面痛、陰部痛、肋間神経痛などの痛みが長引く場合は、日常の起居動作を見直すことが必要です。
正しい起居動作をしなければ、痛みがますます続きます。また、歩行など規則的な運動は、脳内の報酬系を活性化させ、体内鎮痛物質の生産につながります。
体内の鎮痛物質を大切に使うよう心がけましょう。正しい起居動作は長引く痛みを軽くしてくれます。正しい運動は万能薬です。体内鎮痛物質を生産させます。
(ハコラク 2021年10月号掲載)
略歴
昭和55年、岩手医科大学卒業後、同大附属病院麻酔科助手、昭和62年、函館五稜郭病院麻酔科、平成元年、函館脳神経外科病院を経て平成2年、やなづめ医院開院。日本麻酔科学会麻酔科専門医。
やなづめ医院
函館市日吉町3-43-20
☎0138-32-5000
■診療科目/ペインクリニック内科、リハビリテーション科、麻酔科(簗詰泰彦)
■診療時間/〈ペインクリニック内科〉8:30~11:30
16:00~18:00
〈リハビリテーション科〉8:30~12:00
15:00~18:00
〈麻酔科〉 8:30~11:30
16:00~18:00
〈理学療法〉 8:30~12:00
15:00~18:00
※いずれも水・土曜は午後休診
■休診日/日曜・祝日