函館出身のピアニスト、岡田奏さん(30)のピアノ・リサイタル(函館市文化・スポーツ振興財団など主催)が28日、市芸術ホールで開かれた。ベートーベンの名曲などを多彩な音色で響かせ、地元の観衆を魅了した。
岡田さんは15歳で渡仏し、2016年のエリザベート王妃国際音楽コンクールのファイナリストをはじめ、国内外で活躍している。函館での演奏は4年ぶり。
プログラムは、アンコール曲を含めて全7曲。第1部では、モーツァルトの「きらきら星変奏曲」を皮切りに2曲の変奏曲を披露し、第2部ではリストの「ラ・カンパネラ」などの有名曲を演奏。ベートーベンのピアノソナタ「熱情」では、激しくも繊細な旋律を情感豊かに表現した。
アンコール前のトークでは「つらいときも苦しいときもいつも函館のことを思い出している。この大変な状況の中、こうやってお集まりいただいて本当にうれしい。感謝している」と涙ながらに語った。観客は岡田さんが紡ぎ出す美しい音色を堪能し、曲が終わるたび会場は大きな拍手に包まれた。(早坂直美)