函館の地酒「函館奉行」の原料となる酒米「吟風」の田植え式が5日、函館市米原町で開かれた。今年は作付け面積を3万5000平方メートルに増やし、20トンの収穫を目指す。
道内産品の輸出に取り組む北海道食品開発流通地興(谷沢広代表理事)が企画し、今年で9年目。2年前からは同町の稲作農家、日向由友さん(36)が栽培しており、昨年は約6トンを収穫。今年は作付け面積を2・2倍に拡大した。
この日は快晴に恵まれた中、初めに豊作祈願を行い、谷沢代表は「(コロナ禍で)酒類業界は大変な思いをしている。一日も早く普通に飲酒ができ、いいお酒が楽しめるようになればと願う」とあいさつ。その後、関係者が豊作を願って苗を植えた。
米は10月に収穫し、来年2月に新酒ができる予定。20トン収穫した場合の生産量は1・8リットルの1升瓶で約1万6000本となる見通し。日向さんは「今年は1坪(3・3平方メートル)につき5株多く植えたので、収量は増えるのでは」と期待。製造を手がける小西酒造(兵庫県伊丹市)の庄司明生マーケティング本部長は新型コロナウイルスのワクチン接種が進めば、我慢を強いられた反動で消費が拡大するとみており「年間で2019年の水準まで戻したい。今年は前年以上に輸出が見込めるのでは」と話していた。(千葉卓陽)