【七飯】道南で35年ぶりに日本酒造りを始めた「箱館醸蔵」(町大中山1)の契約田(町中野)で27日、酒造好適米「きたしずく」の田植えがあった。今年は町内7戸が昨年の「彗星」「吟風」に加え、新たにきたしずくを作付け、面積も昨年より倍増の計17・5ヘクタール。今冬にはきたしずくを使った純米大吟醸を仕込む予定だ。
昨年は町内5戸が彗星、吟風を計6ヘクタール作付け、34トンを収穫。今年はきたしずく30トン、彗星30トン、吟風14トンの合計74トンの収穫を見込む。
この日は、同社取締役の杉村久幸さん(43)の水田で田植え機を使い、秋の豊作を願い丁寧に苗を植えた。杉村さんは「苗の生育は順調。コメ作りは『苗半作』と呼ばれるほど、苗作りが重要なので、うまく育つのでは」と話した。
杜氏(とうじ)の東谷浩樹さん(52)は「田んぼに足を運んでコメ作りを勉強しつつ、新たな仕込みをイメージして今以上にいい酒を造りたい。冬にはきたしずくを使った純米大吟醸が仕込める」と笑顔を見せた。
蔵元の冨原節子さんは「天候に恵まれ、良い酒米ができることを願う。北海道・北東北の縄文遺跡群が世界文化遺産に登録される見通しになったので、郷宝と共に道南を盛り上げていきたい」と期待を込めた。 きたしずくは道産酒米で最も新しい品種で、吟風と彗星双方の良い部分を併せ持つ。9月下旬に収穫予定。(山崎大和)