自分で行う顎関節症の開口訓練
顎関節症をご存じですか。顎が痛い、動かすと音がする、口を開けづらい。こういった症状を呈する顎の関節や周辺の筋肉の障害の診断名を、顎関節症と言います。有病率が人口の1割程度とも言われ、ストレスやスマホ操作も発症に寄与するため、近年増加傾向にあります。
軽症ではセルフケアでも良くなることもあります。まず歯を接触させる癖、頬杖、前かがみの姿勢などを改善し、咀嚼筋や顎関節に対する荷重を減らします。さらに自分で行う開口訓練が、痛みの軽減や顎の可動域拡大に有効です。口をあまり開けないままだと、筋や関節内部の循環が減少し、栄養障害や疼痛物質の蓄積が続いてしまうからです。
開口訓練の例を紹介します。訓練の前後に10回程、指1本程度の範囲で軽く口を開け閉めします。この時、歯は接触させません。これは準備体操や整理体操です。訓練は4回を1セットとして1日4セット行います。入浴中や直後には体が温まりこわばりが少なく楽に行えます。①口が開けづらい人の場合。まず出来る限り大きく開口します。さらに利き手で下顎を前下方に強制開口します。反対の手は上顎を抑え、少し痛みを我慢し30秒程保ちます。これを繰り返します。②口は指3本程度十分に開くが痛みがある人の場合は出来る限り大きく開口し痛みを我慢して10秒程保ちます。これを繰り返します。③口が開かない期間が長引いていた人は、筋力が低下し開口維持が困難になり顎が疲れやすくなります。筋力を高める必要があり、その場合はまず指2本程度開口し、利き手で下顎を前下方へ押しながらその力に拮抗するように閉じる動作をし、そのままの開口状態を30秒程保ちます。これを繰り返します。
なかなか症状が改善しなかったり、悪化する時は、無理をせず歯科を受診して相談してください。
(ハコラク 2021年6月号掲載)
略歴
昭和59年、函館中部高校卒。平成2年に北海道大学歯学部を卒業後、札幌市内の歯科を経て、平成17年から吉田歯科口腔外科に勤務。
吉田歯科口腔外科
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