着物への大切な気持ちを汲んで
普段使いの衣服や雑貨に仕立てる
華やかな振袖や上品な色合いの訪問着、色鮮やかな帯―。特別な時にしつらえることが多い着物にはさまざまな思い出がまつわる。2019年に着物・帯リメイクショップ「ピットプラス」をオープンした佐藤さんは「思い出の品を記念に、身近に残したいという方たちの心を大事にしたい」と話し、よそ行きの着物や帯を気軽に着られるワンピースやブラウス、財布などに生まれ変わらせる。
「タンスに眠る母やおばの着物を見て、このままにしておくのはもったいないと思った」。子供の頃から裁縫や物作りが好きだったと言う佐藤さんが、初めて着物リメイクを手掛けたのは、帯の幅を利用した小さなバッグ。帯地は裁断すると織った横糸にあたる部分が、どんどんほつれてきてしまうなど、同じ裁縫でも洋裁とは異なり、初めは戸惑いの連続だった。試行錯誤を重ねて形にしていく楽しさに魅了され、洋服や小物を手掛けるようになった。展示会を経て開業し新聞などで取り上げられると、「問い合わせが増えた」と顔をほころばせる。着物リメイクを引き受ける一方で、自身の作品も店やネットショップなどで販売。「物の再生を通じて、思い出も一緒によみがえる。そんな輪を広げていきたい」と、今日も気持ちを込めて、製作に向き合っている。
(ハコラク 2021年5月号掲載)
Pit+
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