感染症の検査について
感染症とは、ウイルスや細菌などの病原体が体内で増殖し、発熱や下痢、咳などの症状が出ることを言います。病原体は種類も多く治療法も病原体ごとに違い、異なる病原体への感染でも同じ症状が出ることもあります。例えばウイルスや細菌が原因の肺炎もあれば、カビが原因の肺炎もあり、治療には病原体の特定が必須です。病原体を特定するために行う感染症の検査には、体内に存在する抗体や病原体を検出する方法があります。抗体は病原体と戦うために体内で作られたもので個々の病原体固有のものです。ある病原体に対する抗体が検出された場合、その病原体に感染したことを意味します。しかし、多くの抗体は長時間体内に残るため、抗体があるからといって検査時に感染しているとは限りません。
病原体の検査は、細菌が原因の場合、体液や組織を採取して顕微鏡で観察し、栄養素や薬を入れた寒天などを使い増殖させる培養という方法で菌を特定します。しかしウイルスは小さすぎて顕微鏡での観察が出来ず、培養方法も細菌と異なり一般的な検査室では行うことが出来ません。そこで、ウイルスや一部の細菌の検査には病原体固有の物質(抗原)や遺伝物質を検出する方法を用います。抗原検査は抗体が特定の病原体をとらえる特徴を利用し、病原体のタンパク質などを検出する方法です。
最近よく聞くPCR検査は遺伝子検査の1種でポリメラーゼ連鎖反応の略です。病原体の遺伝子を大量にコピーし病原体を特定します。しかし遺伝子検査は、1種類の病原体を対象とした検査のため、ほかのウイルスは検査出来ません。そのため遺伝子検査は、特定の病気を疑う場合に行います。1つの検査で全ての病原体の特定は出来ません。複数の検査を順番に実施して可能性を絞り込んでいき病原体を特定します。私たち臨床検査技師はさまざまな検査を通じ感染症治療を支援しています。
(ハコラク 2021年5月号掲載)
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