皮膚の老化と治療
私は、30数年間眼科医として沢山の方を診察してきました。その中には目の周りの皮膚が荒れている方も多く、敏感肌の顔全体の治療も行ってきました。今回は、目に悪影響(白内障・翼状片・黄斑変性・雪目など)を与えることのある紫外線が、肌に与える影響(光老化)について話したいと思います。
地球に届く紫外線にはUVAとUVBがあり、紫外線の9割を占めるUVAは波長が長く、肌の奥の真皮層にまで到達し、ハリや弾力の素のコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を作り出す繊維芽細胞を傷つけてしまいます。UVAを浴び続けると、肌は弾力を失いシワやたるみの原因となります。対してUVBは、波長が短いので肌の奥の真皮まで届かず、肌の表面の表皮にダメージを与えます。日焼け時の赤くなる炎症反応や、メラニン色素が沈着して黒くなるシミやそばかすの原因となります。肌の老化は、実は加齢による自然老化は2割であり、長年日光を浴びたことによる光老化が8割と言われておりますので、日焼け止めは必ず使用するべきです。また、オイルクレンジングやスクラブ洗顔で肌をこすり過ぎて摩擦を毎日起こさせると、肝斑・シミが悪化します。そっと泡洗顔、保湿美容液、日焼け止めを必ず使うというシンプルなお手入れが良いと思います。
出来てしまったシミ・しわ・肝斑・たるみの治療は、①化粧品で時間をかけて取り組みましょう。皮むけを起こすような方法は色素沈着を起こす場合があるので注意が必要です。シンプルが美肌への近道です②ビタミン剤などの内服も効果的です。③積極的な治療方法としては、レーザーの中でも新機種のピコレーザーは即効性があり、高い治療効果が見込めます。従来のレーザーに比べ、痛みが少なく、表皮を傷つけないのでテープ保護も不要ですぐに化粧も可能です。肌は千差万別なので、ご自分に合った治療を探してみて下さい。
(ハコラク 2021年5月号掲載)
略歴
昭和62年、順天堂大学医学部卒業後、日本大学眼科学教室へ入局し日本大学板橋病院勤務。平成5年、日本大学大学院を卒業し国立札幌病院勤務を経て平成9年、藤岡眼科病院へ、平成19年、副院長に就任。医学博士。
藤岡眼科
函館市石川町450-2
☎0138-34-5550
https://fujiokaganka.or.jp/
■診療科目/眼科・美容皮膚科・形成外科
■診療時間/月~金 9:00~13:00
14:00~18:00
第2・4土9:00~13:00
■休診日/日曜・第1・3・5土曜
第3土曜前日の金曜、祝日