こんな時期だが所用が重なって京都に行った。少し時間ができたので「桜まつり」開催中の二条城に行ってみた。閑散としているかと思ったが、そこはやはり京都。入場には行列ができていて、検温と消毒に時間がかかった。
私の興味はお城より庭にあった。50種類のサクラが300本あるということだったが、期待していたほどの感動はなかった。五稜郭公園には種類こそ少ないが1600本、松前に至っては200種類以上のサクラが1万本あるという。本数で競っても意味はないが、それにしても五稜郭公園と松前のサクラは見事である。改めて自慢に思った。色の美しさも勝っているように私は感じた。ソメイヨシノは淡いピンクだが、北海道に広く分布しているエゾヤマザクラも、長く咲くヤエザクラも色は濃い。今まで意識したことはなかったが、今年はじっくり観察してみたい。
バラ科のサクラは接木や挿木で増やすので、園芸品種は驚くほど多い。ひとことでサクラと言っても花びらの数と色だけでなく、咲き方、咲く時期、葉の出方などが微妙に違う。そして粋な名前がついていて実に興味深い。写真のサクラは「御所御車返し」という。「ゴショミクルマガエシ」と読む。あまりの美しさに牛車を引き返してもう一度眺めたという逸話からの命名とのことだ。今年の北国のサクラは例年より早く咲くらしい。咲けば散るのは当然である。ウイルスの流行にも必ず終息はある。待つしかない。(生活デザイナー)