函館市亀田港町の安川農園(安川満江代表)のビニールハウスで、寒気に触れて甘くなる「寒締(かんじ)めベビーリーフ」の収穫が進んでいる。小松菜やホウレンソウなどの葉野菜のカラフルな色合いが目を引き、安川さん(58)は「味は良好」と太鼓判を押す。
安川さんは市内昭和町にハウスを2棟借り、このうち1棟(約82平方メートル)で11種類のベビーリーフを栽培。ベビーリーフの本格出荷は今冬で7シーズン目で、道総研道南農試(北斗市)で昨年まで冬季臨時職員として働いていた縁で、同農試から栽培法を学んだ。
今季は昨秋の農作業が忙しくて手が回らず、種まきが半月遅れとなり、年末年始の寒波の影響も重なって「収量はいまいち」(安川さん)という。例年だと12月から出荷を始めるが、今季は今月12日に初収穫した。2重に被覆したビニールを日中の晴天のとき、ハウスの側面を開けて寒気にさらすことで、糖度やビタミン含量を高める。1週間に1回のペースで収穫、さまざまな葉の特徴を楽しんでもらうためブレンドし、個包装して出荷する。3月中旬まで続く。
安川さんは「丁寧に洗ってオリーブオイルをかけて食べると、素材の味がよく分かる。肉料理の添え物にしても、彩りが良くおいしい。野菜が不足がちな冬にベビーリーフを食べて栄養補給してほしい」と話す。
前作(キュウリ、トマト)の残肥で栽培でき、ハウスの通年利用ができることが冬野菜作りの魅力。安川さんは「出荷先からは『足りない』と言われるほどだが、労働力も限られており、できる範囲で続けたい」と話している。
ベビーリーフの寒締め栽培は道南農試が開発し、新たな北海道ブランド野菜の創出を目指している。道南の農家で栽培しているのは安川さんを含め数軒しかない。
安川農園のベビーリーフはコープさっぽろの「ご近所やさいコーナー」や、シエスタハコダテ内の「ベジ旨マルシェKawasaki」で扱っている。(山崎大和)