誰もが憩える一杯を目指し作り手として全力を注ぐ
「珈琲物語」の店内には、〝焙煎豆工房〟の名にふさわしく販売用のコーヒー豆がずらりと並ぶ。昔からコーヒーが好きだったという店主の中川カヅ子さんは特別支援学校の元教員で、「障害がある人や子供連れの人にも入りやすい店を作りたかった」と1999年に開業。地域の人との繋がりを大切に実習の場としても店の門戸を開放し、卒業生の一人が七飯町で喫茶店を営むなど、コーヒーを楽しむ時間を通してさまざまな人が共生できる場を広げてきた。
焙煎を担当するのは息子の貴喜さん。20種類以上を手掛けるコーヒー豆は、中煎りから極深煎りまで焙煎度合いも幅広く、店名を冠する中煎りブレンド「珈琲物語」は、軽やかな口当たりの中にふくよかで繊細な味の広がりを感じさせる。「嗜好品であるコーヒーの味の評価は飲む人の好みによる部分も大きく、そこが難しさであり面白さ。作り手としてグレードの高い良質な豆を仕入れ、手を抜かず全力で焙煎し、適正な価格で提供する。そこから好みの味を選んで欲しい」と、一日のほとんどを焙煎室で過ごしている。日々豆と向き合い、日常の中で気軽に楽しめる味わいを目指す一杯は、コーヒー通にもそうでない人にも、一人ひとりにぴったりのコーヒーを教えてくれる。
(ハコラク 2021年2月号掲載)
焙煎豆工房 珈琲物語
函館市桔梗5‐8‐10
☎0138‐47‐3110
10:00~17:30(17:00L.O)
日・月曜定休
禁煙
P有り(7台)