【北斗】JR北海道と物流大手の佐川急便は21日、北海道新幹線(新函館北斗―新青森)で、旅客と荷物を同時に輸送する貨客混載事業の実車検証を実施した。新幹線の強みである安定輸送を武器に、宅配荷物の輸送時間の短縮などをにらみ、今年度中の事業化を目指している。
この日報道陣に公開された実車検証では、新青森駅に向け新函館北斗駅を午後9時57分に出発する「はやて100号」を使用。佐川急便の配達員が、トラックから降ろした幅80センチ、奥行き60センチ、高さ50センチの専用の輸送ボックス4つを新幹線まで運び入れ、2人掛けの座席を向かい合わせにしたスペースに設置した。
佐川急便の函館営業所から青森営業所へ荷物を輸送する際、従来はフェリーが担っていた輸送を道新幹線に変えることで、これまで荷物の配達が翌日の午後持ち出しだったものが、翌午前には配達が可能になる。
同社北海道支店の塩家博幸営業課長は「貨客混載が実現できれば、輸送時間の短縮や冬季における宅配物の安定供給が可能となる」とJR北鉄道事業本部企画室の木村琢哉課長は「道新幹線を有効活用することで物流の課題解決に貢献したい」としている。
当初は昨年3月上旬に行う予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期となっていた。(野口賢清)